「FIRE」とは、“Financial Independence Retirement Early”の略で、早期の経済的な自立を意味します。簡単に言うと、働く必要が無く好きな事をして生きていける、ということです。
会社で働いて一生を終える人が多い中、早期退職をして好きな事だけの人生に憧れない人はいないでしょう。
‟駐在はFIREへの近道”と言われたりしていますが、実情はどうなのか、駐在の経験を基にFIREと駐在の関係をまとめました。
駐在は本当にFIREに繋がるのか？
“駐在はお金が貯まる！”というイメージ通り、貯金のペースが２倍、人によっては３倍程度お金が貯まりやすく、FIREへの近道になる事は間違いありません。
お金が貯まる理由はいくつかありますが、”手当による給料の増加”、”海外移住による出費の減少”が大きいです。
手当による給料の増加
主な手当は、”海外駐在手当”、”ハードシップ手当”、”勤務時間差手当”で、この３つだけで給料が１．５倍から２倍になります。他にも、”単身赴任手当”、”住居手当”、”海外子女手当”、”一時帰国手当”等も加算され、日本での給料にプラスで月々３０万から５０万円くらい加算されます。
海外移住による出費の減少
駐在に行くとなると、会社が生活に関わるほとんどの費用を肩代わりしてくれる為、海外で働いているだけだと、出費はほとんどありません。海外駐在者は日本非住居者となる為、住民税は払う必要が無く、自動車税や自動車保険も車を手放すと無くなります。
また、駐在先が発展途上国であれば、物価が安いことが多く、日本の様なサービス施設が整っていない為、お金を使って遊びに行くことも減ります。
駐在ではFIREに向けた資産運用が出来ない？
FIREと聞くと、不労働所得をどうやって得るかが問題になりますが、FIREに向けて株式投資に手を出す人が多いです。
“駐在で稼ぐ ⇒ 出費が減る ⇒ 投資の割合が増える ⇒ 駐在終了後にFIRE” というような理想的なパターンを夢見がちですが、実際の所は駐在では株式投資が困難となります。
日本の証券口座を使用できるか？
駐在する際に日本に住所を持たない事を申請します。日本の非住居者は株式口座を維持出来ない為、保有する株は全て駐在前に売却 or 取引出来なくなって塩漬けにするしかありません。
その為、駐在中に稼いだお金は追加投資の資金には出来ず、駐在中は投資とは縁の無い生活になります。
日本にいる親族や信頼できる人間に、日本の証券口座を開いて貰って、自分の資金を使って運用して貰う手段もありますが、裏切られた時のリスクも大きい為、あまりおススメはできません。
口座開設や取引の手間もありますので、余程の信用が無い限り依頼も困難になります。
駐在先、他国の証券口座を使用できるか？
その国の非住居者でも開設できる証券口座もあるのは事実ですが、どの様な場合でも、証券口座を開設する時は納税者管理番号を登録する必要があります。日本だとマイナンバーカード、インドではPANカード等、各国が脱税対策として、納税者管理番号を使用している為、避けては通れません。
この納税者管理番号を登録してしまうと、納税の義務が発生します。
駐在先での納税は良くも悪くも会社に肩代わりして貰っていることが多く、”給料に対する税金”以外の”株式投資による所得の税金”も会社が負担する懸念があります。
“株式投資による所得の税金”を会社が支払うことはありませんので、発覚した場合は大事になる為、おススメできません。
株式投資以外の投資は可能か？
株式投資以外には、不動産投資や実物投資があります。不動産投資の場合、日本での不動産利益は日本に所得税を支払う必要があります。
海外からの納税や日本に帰っての納税が可能になる為、出来ないことはありませんが不動産投資は手間が掛かる場合多いです。
駐在中は日本に直ぐに帰る事は出来ない為、手間を掛けずに運用できる不動産投資の状態を作っておく必要があります。
実物投資は駐在中も可能にはなりますが、税関に引っかかる高価な物は日本に置いていく必要がある為、売却・購入のタイミングを逃す可能性があります。
以上の様な理由から、駐在中の投資は困難となる為、駐在中は極力蓄財に力を入れて、駐在終了後の投資に向けて準備をしておきましょう。
FIREに必要な金額と駐在で貯蓄出来る費用は？
FIREに必要な金額は３０００万円から５０００万円とされています。
株式投資では４％の運用益が見込める為、３０００万円の資産運用だと年間１２０万、月１０万円の所得となります。
月々１０万円以上あれば、生活を切り詰めれば人によってはFIREが可能です。
また、完全なリタイアではなく、無理のない範囲で自分の好きな仕事をしながら暮らすFIREの形もあり、その様な場合だと１０００万～２０００万円程度の資産でもFIREが可能です。
このFIREに必要な資産を、一度の駐在で貯蓄出来る可能性が高いです。
当然、駐在期間にもよりますが、１年や２年では困難ですが、３年以上の長期駐在となるとほとんどの人がFIREを達成できる資産になります。
駐在すると手取りが約２倍、出費が減少する為、貯蓄額は駐在しない場合と比較して約３倍にもなります。
年間２００万円の貯蓄が出来る人は、駐在に行くと６００万円程度の貯蓄も夢ではありません。
まとめ
駐在は確かにFIREへの近道となる為、FIREを人生の第一の目的としている人、お金に苦労したくない人は積極的に手を挙げていくのが良いです。
一方で駐在で失うものが多くなる人もいる為、自分の人生で何が大切かを考えて駐在を選択して下さい。
駐在したとしても、稼いでいる分財布の紐が緩んで浪費してしまう人も多い為、注意する必要があります。
駐在で人生を豊かにしましょう。
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